以前とある異業種交流に参加させていただきまして、3分間スピーチをさせていただく機会がありました。 なかなか3分で保険の話をするのは難しいのですが
「がん」のお話は、多くの方が興味があり、かつ最近では一般の方もかなり知識が豊富ですので、短い時間でもお伝えできることがあるのでは?と思い、ガン保険の事を少しお話しさせていただいたところ、なかなか好評でしたので、時間が不足した部分を補足しながら紹介したいと思います。
保険会社は基本的に儲けがあるものしか販売しないのですね。
これは理由があって、保険会社がアクドイわけではありません。
保険会社は確率論で赤字になるものは絶対販売できません。
倒産して保険が払えませんでは困るので、許可が下りた商品しか販売が出来ないからです。
そんな中でも、たまに保険会社が儲けることが出来ない(つまりお客様が得する可能性が非常に高い)商品が出現することがあります。
どうなるかというと、あっという間に販売中止になるんですね(笑)
実は、個人的にこれは近々販売中止になるんじゃないか?って思っている商品があります。
いろんな制約上、具体的に商品を公に表示することは禁止されていますので書きませんが。
ちょっと話がずれましたが ガン保険 に関してよく聞くキーワードに
「3人に1人はガンになる時代です」
というフレーズがあります。
これ・・・ 嘘じゃないんです
データ上、嘘じゃないんですが…
私に言わせれば 「誤解を生む、都合のいい言い方」です。
少しここを深く掘り下げてみたいと思います。
厚生労働省のデータによると、2019年の死者数は以下のようになっています。
全死因 138 万 1098 人 悪性新生物 (27.3%) 心疾患 (15.0%)
老衰 (8.8%)
脳血管疾患 (7.7%)
肺炎 (6.9%) 不慮の事故 (2.9%)
ご存じのように、悪性新生物という項目が「ガン」です。
この数字をみると、保険会社の主張するように、およそ「3人に1人」(2019年は正確には3.7人に1人)がガンでお亡くなりになっています。
ここで、考えます。
これがガン保険に加入する動機になるのだろうか?
そもそも死んだときのお金は「ガン保険」じゃなくて「死亡保険」でリスクカバーしてるんじゃないでしょうか?
このデータは死亡した人の中で「3人に1人がガンだった」という事を教えてくれただけで 「ガン保険」に入るか、入らないかは「死んだ人」のうちガンだった人は何人?
というデータではなくて
「病気で治療している人」のうちガンは何人?、もしくは自分の年齢でガンになる確率は?
のデータで考えないとおかしいのではないのでしょうか?
言い回しがめんどくさくなりましたが、この考え方に基づいて調べてみると・・・
厚生労働省の2017年のデータで
傷病分類別にみた種類別推計患者数を統計として取ったものがありまして これによると
入院中の患者総数 131万2600人
悪性新生物 (9.6%) 神経および行動の傷害(認知症など) (19.2%)
神経系の疾患(アルツハイマーなど) (9.6%)
脳血管疾患 (11.1%)
心疾患 (4.8%)
であり、病気の人の、およそ10人に1人ということになります。でも、これ糖尿病などを同時に患ってるかどうか?などは無視した数字のようなので、10人に1人という言い方は乱暴かもしれません。
そこで、ちょっと古いデータしか見つかりませんでしたが、平成17年(これ以降の適切な年齢別罹患数を表記したデータが見つかりませんでした・・・見つけ次第更新します)のデータでは詳細に年齢別の患者数が調べられていて
これによると、ガン患者は全部で64万6802人、このうち
前罹患数 64万6802人
30代は 1万2406人 40代は 3万3235人 50代は 9万2647人 60代は 16万 145 人 それ以上34万2650人
という数字である。
いよいよ皆さんに知っていただきたい数字です。
これを人口分布で割るとどんな数字が出てくるでしょうか?
30代 1849万 638人(ガン患者割合0.067%) 40代 1580万6457人(ガン患者割合0.210%) 50代 1905万1663人(ガン患者割合0.486%) 60代 1597万7239人(ガン患者割合1.002%)
60代でやっと100人に1人
という分布です。 どう思いますか?この数字
がんと言う病気は、罹患する確率で見れば、若年層のあいだは、かなり低い確率のリスクということになります。
なんだか「3人に1人」という言葉がまるで詐欺のように見えなくもありません💦
※私はガン保険に入る必要が無い。と言いたいのではありません。
実際、ガン保険に私は加入しています。
ただし、今回記載したような数字を理解したうえで加入しています。
なぜならば、がんと言う病気は、その治療方法においては、現代医学ではまだまだ特殊ということです。
簡単に言うと治療に大金がかかる可能性が高いということです。
理由としては、日進月歩で最新の治療や薬が開発され、法整備などが追い付かないので、健康保険の対象外(自由診療)になる可能性がありえるということが大きいと思います。
そういった意味では、がんというリスクに保険で備える条件としては
がんに罹患したときに治療にかかる費用をしっかりまかなえる保険である。
と、言うことが第一条件でなければならないと思います。
例えるならば、自動車保険に加入する場合、他人をはねてしまった場合などの「対人保障」は「無制限」の保障をかけるのがあたりまえ、の理屈と近い考え方です。
ぜひ、がん保険とは、加入していれば安心なのではなく、その中身にこだわって選択してください。確率は低いけれど、いざというときに莫大な負担がかかるリスクに関しては、その時に莫大な保険金でしっかりリスクに備える。という考え方が必要です。
逆に言えば、自分はそんなリスクの低いことは気にしないし、万が一がんに罹患しても健康保険適用の範囲内でしか治療は望まない。という方には、がん保険は必要ないもの、と言えると思います。